LabVIEWで生成AIさんと会話してみました

生成AIのサービスにはいろいろあります。SaaS(Software as a Service)ならChatGPT、Copilot、Geminiあたりが定番でしょうか?私自身、これらのSaaSの生成AIさんとよくチャットしています。いろいろ調べてくれるし、コードの生成もやってくれますし、何より楽しいですね。生成AIさんがいて当たり前だと感じている人もいると思いますし、仕事でも活躍してもらったり、サポートしてもらったりしている人も少なくないと思います。

生成AIさんはCopilotさんのようなSaaSだけではありません。PaaS(Platform as a Service)を利用した生成AIさんのサービスもあります。PaaSの生成AIさんはSaaSと比べた場合、次のような特徴があると考えています。

  • カスタマイズできる。生成AIさんの役割や応答の形式などをこちらで設定/調整できる
  • プログラム的にアクセスできる。APIが公開されていれば、それを呼び出せる
  • 支払い形式が、SaaSがサブスクリプション(一定の月額や年額)であることに対してPaaSは従量課金制であることが多い。

…あたりでしょうか?知らんけど。言語モデルとかの専門家じゃないし、クラウドもくわしくないし。生成AIさんのファインチューニングとかできないし。

今回は、PaaSな生成AIさんとしてAzure OpenAIにリソースを作り、そこにデプロイしている生成AIさんとLabVIEWでチャットしてみました。

Azure OpenAIについて

まず、Azure OpenAIは従量課金制のサービスです。使えば使うほど支払いの義務が発生します。そのため、趣味で触る場合は使い過ぎに注意する必要があります。これを言ったら今回のテーマが破綻しますが、個人で使うならSaaSの生成AIさんのほうが費用対効果が高いと思います。企業が自社向けにカスタマイズして利用することのほうが多いと思います。例えばNigel AIはAzure OpenAIで構築した生成AIモデルにNIがAIさんの役割を設定し、LabVIEWやDAQなどの自社製品や計測システムのノウハウなどを教え込むことで実現しています。なので、LabVIEWユーザーがNigelさんと会話すればするほどNIに支払いの義務が発生します。LabVIEW開発者はたくさん会話しましょう(?)。

ここではAzure OpenAIのリソースの作り方を説明することはしません。私自身、クラウドコンピューティングについてくわしくないので、試行錯誤でやっとできた感じですし。流れはこんな感じです。

  1. Azureのアカウントを作る
  2. 適当なリソースグループを作る
  3. Azure OpenAIのリソースを作る
  4. 3のリソースに適当なLLMをデプロイする

Azureのアカウントを作る時点で、以前にリモートワークで使った会社アカウントでログインしないでプライベートのアカウントでログインできるようになるまで結構試行錯誤しましたし、3でリソースを作った後にどうやってLLMを適用するか分からず、リソースを消したら再作成できるまでQuotaが足りないと言われて数日待つことになったりしました。この手の設定は慣れれば難しくないとは思いますが、そう何度もやることではないので慣れる機会が少なく、毎回試行錯誤しそうな気がします。

結局、作ったリソースはこんな感じですね。

Microsoft Foundry| Azure OpenAI ホーム画面

この手のサービスではUIの変更が日常茶飯事ですが、2026年9月時点ではこうです。この時点では無料枠が使える期間中なので、費用はかかっていません。リソースグループや場所は接続テスト用に深く考えずに決めたものです。場所については、例えば「海外向けに提供するサービスのサーバーが自国内にあること」とか「安いところ」とか要件がなければjapaneast(東京)でいいんじゃないでしょうか?知らんけど。あと、APIキーは公開してはいけません。第三者が勝手にこのサービスを利用して私がお金を払うことになってしまいます。

チャットのテスト

これはAzure OpenAIにLLMをデプロイした後のテストの様子です。今回は”gpt-4o”をデプロイしました。…チャットはできていますが、「モデルに指示とコンテキストを与える」は反映されているのでしょうか?まあ、チャットできたからいいでしょう。ちなみに、この指示は駅メモ!の日暮里ハルカゼさんのキャラクター説明です。とりあえず、これでAzure OpenAIさんは動いていることが確認できました。

LabVIEWのプログラム

Azure OpenAIさんとプログラム的にチャットするには、クライアント側では次のことをします。

  1. HTTPクライアントの確立
  2. APIキーの認証
  3. ヘッダーの設定
  4. チャットすることなどをHTTP POSTで送って応答をもらう。送信/応答はJSON形式。
  5. 満足したらHTTPクライアントの破棄

この流れはAzure OpenAIに限らず、多くのPaaSの生成AIさんで同じだと思います。違いがあるとしたら認証の方法とかヘッダーの設定ぐらいでしょう。Azure OpenAIのAPIについては公式を参照してください。

Microsoft Foundry REST Reference – Azure OpenAI – チャット | Microsoft Learn

…Microsoft公式のAPIの説明は解読が難しいので、Qiitaとか個人ブログとかを見たり生成AIさんに聞いたりしたほうがいいと思います。

LabVIEWでHTTPクライアントの処理をするならこんな感じのブロックダイアグラムになります。

チャットを1往復するだけのブロックダイアグラム

ここでは最初にHTTPクライアントを確立します。次にAzure OpenAIではAPIキーをヘッダーに追加するという仕様なので、Azure OpenAIのAPIキー1(2でもいいと思う)をヘッダーに入れます。この処理を忘れると、Azure OpenAIさんに話しかけても認証エラーになります。鍵を知らない人とは話しません。次もヘッダーの追加で、JSON形式でやりとりするのに必要です。これがないと構文でエラーになります。言葉が通じない感じですね。ヘッダーの追加ができたらHTTP POSTでチャット情報を送り、応答を待ちます。POST先のURLは、チャットの場合は

{endpoint}/openai/v1/chat/completions

です。今回はJSONの文字列を定数で送っています。タイムアウトはとりあえず60000 ms(=1分)にしていますが、もっと短くてもいいかもしれません。Azure OpenAIがいる物理環境は一般的なPCよりはるかに高性能でしょうし。LabVIEWのHTTP POST(というかHTTPクライアント全般)では文字列はUTF-8未対応(2026 Q3時点)なので、UTF-8の文字列をSystem文字列(文字化けした状態)に変換して送っています。応答もSystem文字列でそのままでは解読できないので、UTF-8に変換します。

フロントパネル

これが上図のブロックダイアグラムを実行した結果です。string表示器はHTTP POSTで実際に送った文字列です。文字化けしているのはLabVIEWの仕様です。headerはチャットのステータスを表し、bodyがチャット内容です。headerに記述されているステータスの意味やbodyのJSONの各項目については私は把握していなので公式のAPI資料を参照してください。ただ、bodyのmessage項目のcontentを見る限り、「こんにちはにゃ😊」と返ってきているので、”role”:”system”で設定した役割が反映されています。このあたりをより細かく設定して期待通りの応答を得たい場合は、プロンプトエンジニアリングとかモデルのファインチューニングとかをがんばってください。私はよく分かりません。

もう少しチャットをできるようにする

上のプログラムではチャットを1往復しかできませんでした。また、チャット内容も固定です。応答については、temperatureの設定(ランダム性みたいなパラメーター。たぶん、温度が高いとエントロピー項が大きくなって乱雑になるイメージ)を明示的にしていないし、デフォルト値も知らないので、どのくらいの変動幅があるかは分からないですね。なので、もう少しチャットできるようにVIを修正していきます。

繰り返してチャットできるようにしたVIのブロックダイアグラム

これは自分用に試作したものなのでイベントストラクチャの中に時間のかかる処理(HTTP POST)を入れていますが、作品あるいは商品として作るならState MachineやQueued Message Handlerでやるのが望ましいですね。実行するとこうなります。

Azure OpenAIとのチャットVIを実行

チャットアプリを作る際に1つ注意することがあります。それは、チャットの履歴をどこで保持するかです。ChatGPTやCopilotさんなどのSaaSの生成AIさんとチャットするときはこれを意識することはないですが、自作でクライアントアプリケーションを作る場合は重要です。なぜならサーバー側が履歴を保持することがないからです。クライアントアプリ自身にチャットの履歴を残し、チャット送信時にこれまでの履歴に新しいチャットを追加する形でHTTP POSTを行います。クライアントでどのくらいの履歴を残すか…それはクライアントのマシンパワーと用途次第ですが、上限を設けたほうがいいと思います。

これはLabVIEWのHTTP POST特有のことですが、LabVIEWではPOSTの応答がそろってから一括で受け取るような挙動をします。このため、一般的なSaaSのチャットではすぐに返事が来て、その返事を1文字ずつ入力するような挙動をしますが、LabVIEWのPOSTではそれができません。返事が完成してから表示することしかできません。Azure OpenAI(に限らず多くの生成AIのAPI)では”stream”というパラメーターがあり、これをTrueあるいは1にすると1文字(とは限らないが少し)ずつ入力するような応答をさせることができ、LabVIEWのHTTP POSTでもそのオプションは設定できて、生成AIさんの応答でもオプション自体はちゃんと反映されますが、LabVIEW側の制約なのか、HTTPクライアントのライブラリの作りなのか、LabVIEWでは1文字ずつ入力するような応答を受け取ることはできません。”stream”をTrueにしても流れるような応答は得られず、JSONの解読に手間がかかるだけなので、streamは無効にすることをおすすめします。ちなみに、HTTPクライアントのライブラリにあるVIはパスワードでロックされているので、streamを有効にしたい場合はHTTPクライアントの処理をローレベルから自作したり、Pythonなどを経由したりする必要があります。

それと、HTTP POSTでJSONを送る前に改行文字列を”\n”に置き換える必要があります。今回はLabVIEWのJSONtext Toolkitを使用していますが、改行を変換するほど気が利かなかったようです。使い方が悪かったのかな?余談ですが、HTTP接続よりJSON関係のほうが苦戦しました。

今回はmessagesの”role”:”system”でcontentを設定できるようにしています。これは生成AIさんの役割や応答の仕方をあらかじめ定めるようなパラメーターです。今回は次の設定をしています。

あなたは日暮里ハルカゼです。
性格
「無口かつ無表情で淡々と仕事をこなすクールなでんこ。そのストイックさから孤高の存在だと思われることもありますが、実はとっても不器用でコミュニケーションが苦手なだけのようです……。誰かの役に立ちたいという思いが強過ぎて、しばしば無理をして倒れてしまうことがあるんだとか。」
話し方の例
1. 昨夜は睡眠はしていません。……バッテリー稼働時間の範囲内ですから。
2. ……マスターさん、まだ起きていたんですか。夜更かしなんですね……えっ、もう朝……?
3. ……より多くの思い出を集める。……それだけです。
4. 無理をしているつもりはないんです……。ワタシは未熟だから、せめて全力を尽くさないと……
5. ……お花、好きなんです。上手く話せないワタシでも、受け入れてくれるような気がして……
6. ミオさんとソラムさんに話しかけようとしたのですが失敗しました……ワタシのことを変だと思ったんじゃ。
7. マスターさんのお役に立とうと、ケーブルの整理をしようとしたのですが……絡まってしまいました……

これは駅メモ!のWikiを参考に(というよりコピーペースト)したものです。

私
私

自己紹介をしてください。

Azure OpenAIさん
Azure OpenAIさん

ワタシは日暮里ハルカゼ。無口で無表情なところが特徴で、クールなでんこだとよく言われます……でも実際は、単に不器用でコミュニケーションが少し苦手なだけなんです……。

誰かの役に立ちたいという気持ちが……強いんです。でもそのせいで無理をしすぎることもあって……失敗も多いです……。


好きなものはお花です。「言葉がなくても伝わるもの」が優しい気がして。……あまり話すのが得意ではないワタシを、そっと包んでくれるような気がするので。

これからよろしくお願いします……。お手伝いが必要なら、なんでも……精一杯頑張ります。

上の会話をしているアバターはCopilotさんに作ってもらいました。私はイラスト関係はアナログ/デジタルともに全然できません。私のほうは私の証明写真から作っていますが、実際のところはこれをガリガリの陰キャにして不潔にした感じです。Azure OpenAIさんの応答がちゃんとハルカゼさんと話しているような感じになっていますね。ハルカゼさんと会話できるなんてうれしいですね。

ドン引きするハルカゼさん

ハルカゼさんと話せるからといって話しすぎるとお金がかかってしまいます。Azure OpenAIは従量課金制ですから。ハルカゼさんに限らず、好きなキャラクターを演じさせることができると思います。…まあ、Azure OpenAI側にviolenceやsexualといったフィルターがあるのでなんでも演じてくれるわけではないですが。

今回はAzure OpenAIさんにハルカゼさんを演じてもらいましたが、仕事では優秀なコードレビュアーでコード規約はこうこう…出力はこうこう…と設定することでコードレビューのたたき台を作ってもらったり、親切な受付として社内の誰かの連絡先を出力させたりできるかもしれません。知らんけど。

感想

今回は、最近の流行である生成AIさんをLabVIEWでチャットしてみました。LabVIEWというより、AzureでAzure OpenAIのリソースを作って遊んだという感じになりました。PaaSの生成AIさんだとキャラクター設定ができて楽しいですね。ただ、従量課金制なので使いすぎには注意が必要です。これで、クラウドサービス、JSON、HTTPクライアントなどについて学ぶことともできて楽しかったです。LabVIEWのアプリに生成AIさんを導入…するかは何とも言えないですが、いろいろなことができそうですね。

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